2017/6/18 第9回ジェイン・オースティンの読書会 『マンスフィールド・パーク』シーズン2
6/18(日)第9回ジェイン・オースティンの読書会 『マンスフィールド・パーク』シーズン2を開催致しました。
6月のジェイン・オースティンの読書会会場は、昨年と同じ横浜の西洋館の一室をお借りして開催いたしました。 毎回使用する会場については、工夫をしているのですが、利便性は勿論、なるたけ雰囲気の良い会場で読書会を開催するのは、原作者に敬意を表し、会場の雰囲気からその作品の良さが浸透しやすい様に、という想いがございます。今回はその甲斐もあってか(*^^*)オースティン作品をこのなく愛する人達が一堂に会しまして(笑)、課題本以外の作品の登場人物との比較等、面白い視点で『マンスフィールド・パーク』について語り合いました♪参加された皆様、有難うございました。^^/
課題本の『マンスフィールド・パーク』は、下記の二人の訳者さんの作品で、頁合わせをしながら進めました。
A.『マンスフィールド・パーク』(中公文庫) ジェイン オースティン、大島 一彦 訳
B.『マンスフィールド・パーク』 (ちくま文庫) ジェイン・オースティン、 中野 康司 訳
頁の振り方が異なるため、章対応は下記を参照願います。
A 大島一彦 訳 B 中野 康司 訳 1巻 1章ー18章 1章ー18章 2巻 1章ー13章 19章ー31章 3巻 1章ー17章 32章ー48章
参加者の方々、それぞれの視点から、『マンスフィールド・パーク』の登場人物、気になる場面等をお話いただきました。 お題の一番印象的なor好きな人物では、メアリ・クロフォード、ノリス夫人、ファニーの名前があげられ、なるほど個性の強いキャラに皆さん注目されていたようです。なかでも「メアリは作者オースティンに似ているのかもしれない」や「ノリス夫人は腹の立つ人物かもしれないけど彼女がファニーを引取る、と言い出したのでファニーは苦労の末幸せを掴んだ」と鋭い指摘や、またヘンリーの心変わりを『高慢と偏見』のダーシーと反対である、と他の作品の登場人物と比較してお話が進んだのは、大変楽しく、オースティンファンならでは会話が弾んだ一時を過ごす事が出来ました!有難うございます^^/
『マンスフィールド・パーク』は、オースティンの代表作『高慢と偏見』に劣らず、プロットがとてもしっかりしており、もしかすると、写実的な小説技巧では一番なのかも・・・と思いますが、バートラム夫人の飼い犬の性別が曖昧だったり、作品の中の事実を忘れているなど、「おやっ?」という箇所もあり。『マンスフィールド・パーク』を執筆中のオースティンは『分別と多感』を校正したり、『高慢と偏見』を出版したりと他の作品の出版活動もあって、忙しい時期だったのかもしれません。
本作は道徳心を説いている作品であり、作者オースティンの意図は、当時の英国上流階級(摂政時代)の退廃ムードに対して、作品を通して"物申す"を実践したのではないか?そのため、作品自体が地味な風味を 持ち、ある参加者の方は「面白いけど、平坦な気がして、(機知に富んでいる)『高慢と偏見』を読み直してしまった」とのこと(笑)。
折り良く、今月7月の『100分 de 名著』は、「ジェイン・オースティン『高慢と偏見』 2017年7月」です!! ジェイン・オースティンの作品がようやく100分 de 名著入りを果たしました! http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/67_janeausten/index.html#movie
放送は既に終盤、見逃してしまった方でも、NHK(WEB)やGAO経由でオンデマンドでお好きな時間に視聴できますのでご安心を♪
ワクワク感一杯の『高慢と偏見』と道徳色の濃い『マンスフィールド・パーク』、どちらも英国の女流作家ジェイン・オースティンの作品です。今年2017年はオースティン没後200年、9月から英国の新10ポンド札にはオースティンの肖像が印刷され流通します。
"知性は機知よりも良いものですし、最後に勝つのは知性です"
(『ジェイン・オースティンの手紙』より)
さぁ、オースティンの作品に興味を持たれたら是非他作品も読んでみると、「人間の普遍性は昔も今も変わらない」事に気付き、実り豊かな活動に繋がるかも^^/
次回の第10回ジェイン・オースティンの読書会は、11月19日(日)『分別と多感』です。 ご興味のある方、どうぞ、よろしくお願い致します。m(._.)m