Book club to find happiness
~日曜午後、読書会~ Since October 2012
こんにちは。▼o・_・o▼♪BCTFH(Book club to find happiness ~日曜午後、読書会~)です。
一冊の本から『感動の輪』を広げてみませんか?この読書会は日曜の午後、東京都内のカフェで大好きな本の情報をシェアする読書人の集いの場です。
Facebookのページも宜しくお願い致します^^/
2016年に開催した読書会のレポートです。 2015年以前はサブフォルダをクリックしてください
"読書"を自分の時間の中でどう位置づけるか、人によって異なりますが、「ふふっ」と笑いを誘ってリラックスさせる様な、よく考えればどうでもよい文章?(失礼m(_ _)m)が詰まったエッセイや、読者に神経をつかわせる「悪文」も、時には緩和剤やスパイスとして人生に必要なのかも、と感じた読書会でした。
たまたま読書会の二日前に主催者は、イタリア文化会館で行われた第2回「須賀敦子翻訳賞」授賞式に出席してまいりました。http://www.iictokyo.esteri.it/iic_tokyo/ja/gli_eventi/calendario/2016/11/cerimonia-di-consegna-del-premio.html
この賞は、「イタリア語の著作の優れた日本語への翻訳を評価し、広く紹介するもの」として2014年に新設、そのもとは1988年に創設し、2007年に中断された「ピーコ・デッラ・ミランドラ賞」を継承するものとして、日本人でイタリア文学者であり随筆家である須賀敦子氏の名をいただき創設されたそうです。
2人の受賞者が日本語とイタリア語で翻訳を手がけた作品を朗読、この本の紹介の表現方法、とても素晴しかったです。原作者の作品に対する想いをくんで日本語で語りかける翻訳家の方々の熱意も会場に伝わり、思わず「読まなくちゃ!」と心に響いたのでした♪
翻訳業は大変なお仕事ですが、私達はその功績のお陰で良質な作品を手にとる事が出来ます。
いつも素晴しいお仕事を有難うございます!
そこで読書会では、イタリア関連の書籍を多めにご紹介、2017年2月19日開催予定の紹介型読書会「イタリアの物語」に繫いでみようかと、只今企画中です。
ご興味のある方は是非次回"イタリア"を語り合いましょう!
早いもので、もう師走。今年は寒暖の激しい季節が続きますが、皆様、お体ご自愛くださいませ。
今年の12月の読書会は第二日曜日、12/11に海外文学読書会「ノーベル文学賞受賞作家の会」を開催いたします。
宜しくお願い致します。
読書会レポート
2016年11月20日(日)紹介型読書会「秋の大読書会」
11/20(日)に紹介型読書会「秋の大読書会」を開催いたしました!
今回は年に2回開催のジャンルフリーの紹介型読書会、各分野から秋にお薦めの一冊(数冊)を持ち寄った読書人の方々が様々なジャンルの本をご紹介され、大変楽しい会となりました事、御礼申し上げます。
ご参加いただいた皆様、有難うございましたm(。-_-。)m
下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含みます)
『プラハの墓地』 ウンベルト・エーコ (著), 橋本 勝雄 (翻訳)
『異世界の書―幻想領国地誌集成』 ウンベルト エーコ (著), 三谷 武司 (翻訳)
『偉大なる時のモザイク』 カルミネ アバーテ (著), 栗原 俊秀 (翻訳)
『帰郷の祭り』 カルミネ アバーテ (著), 栗原 俊秀 (翻訳)
『須賀敦子全集〈第4巻〉』 須賀 敦子 (著)
『ゲルマニア』 ハラルト ギルバース (著), 酒寄 進一 (翻訳)
『オーディンの末裔』 ハラルト ギルバース (著), 酒寄 進一 (翻訳)
『TUGUMI(つぐみ)』 吉本 ばなな (著)
『開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU―』皆川 博子 (著)
『時のかなたの恋人』 ジュード デヴロー (著), 幾野 宏 (翻訳)
『40歳からは食べ方を変えなさい!: 「体の糖化」に気をつければ、若くなる!』 済陽 高穂 (著)
『パナマの死闘 (ハヤカワ文庫 NV 80 海の男ホーンブロワー・シリーズ 5)』 セシル・スコット・フォレスター (著), 高橋 泰邦 (翻訳)
『ジーノの家―イタリア10景』 内田 洋子 (著)
『70歳の日記』 メイ・サートン (著), 幾島幸子 (翻訳)
『アパリション』 前川 裕 (著)
『深夜特急〈1〉香港・マカオ』 沢木 耕太郎 (著)
『闇の花道―天切り松 闇がたり』〈第1巻〉 浅田 次郎 (著)
『ねにもつタイプ』 (ちくま文庫) 岸本 佐知子 (著)
『オペラ座の怪人』 ガストン・ルルー (著), 三輪 秀彦 (翻訳)
『黄色い部屋の謎』 ガストン・ルルー (著)
『文章読本 』 谷崎 潤一郎 (著)
『文章読本 』 丸谷 才一 (著)
『文章読本 』 三島 由紀夫 (著)
『魂の文章術―書くことから始めよう』 ナタリー ゴールドバーグ (著), 小谷 啓子 (翻訳)
普段自分では手に取らない本を読書会で紹介されると短時間で吸収でき、大変お得感のあるジャンルフリーの紹介型読書会ですが、今回も本にまつわる新しい情報を得る事が出来、秋の実りにふさわしい内容となりました。
2016年10月16日(日) 第8回ジェイン・オースティンの読書会 『エマ』シーズン2
2016年9月20日(日) 海外文学読書会 「アジア文学の世界」
2016年10月16日(日)に「第8回ジェイン・オースティンの読書会 『エマ』シーズン2」を開催いたしました。今回は同日に第一部と第二部に分けて読書会を開催。
2013年から毎年2作品を課題本に開催してきた「ジェイン・オースティンの読書会」、この度1名の方が全6作品の読書会参加を達成されました!☆^^☆
この会は「欧米人に200年以上支持され、人気の英国女流作家ジェイン・オースティンの読者を日本でも増やそう!」という目標のもと、オースティンファンの方々や読者を増やす活動に共感いただける方々で、4年以上続いている読書会です。昨年に6作品を一巡、今年からシーズン2(ドラマみたいですが(笑)に突入し、あと何人の方々がジェイン・オースティンの読書会に参加され、作品の素晴しさや物語に描かれた人間の本質や普遍的な行動を周囲に伝播してくださるのか、期待が膨らみます。
これまで、ご参加いただいた皆様、お疲れ様でした。m(_ _)m
そしてあと2年、ジェイン・オースティンの読者を増やす活動を応援またはお手伝いくださいませ。^^/
参加者の方々が持参された翻訳本は、下記の2名の翻訳者の作品です。章立ては、2冊とも1章から55章まで。
『エマ』ジェイン・オースティン (著)
阿部 知二 (翻訳)(中公文庫)
中野 康司 (翻訳)(ちくま文庫)
今回のお題は『エマ』で一番印象的なor好きな人物。
「好きな人物」は、ナイトリー氏が2人、エマが1人、「興味のある人物」は、ウッドハウス氏が2人、フランク・チャーチルが1人でした。『エマ』を読むのは3回目の方が2人、エマとナイトリー氏の関係だけでなく、ジェイン・フェアファックスとフランク・チャーチルに視点を合わせて読むと幾つかある謎々、伏線が紐解けましたね。
気になる場面、読後の感想では、下記の意見が。
・ハリエットはなぜ危険な場面で助けてくれたフランク・チャーチルに心を寄せなかったのか
・ウッドハウス氏とエマの親子関係が微笑ましい
・ジェインとフランクはなぜ婚約を秘密にしていたのか
・エマの内面描写は、オースティンの円熟期の作品を思わせる
・自分のおせっかいや勘違いが後で判明した時の"あの恥をかく経験"
・叱られても、めげずに現状を回復をこころみる葛藤と勇気
・当時の私生児の存在を取り上げた作品
米国で学生時代を過ごされた方によると『エマ』と『高慢と偏見』はオースティンの作品の中でも人気二分するほど読まれている、とのこと。日本ではなぜイマイチなのでしょう、大作だから?タイトルが女性名だから?恵まれすぎている主人公の物語だから?
もし上記のうち一つの理由で『エマ』を読んでないのならば、女性ならば人生の選択を間違えない様にする羅針盤を一つ逃し、男性ならば人生の伴侶を決める心眼を磨く機会を逃しているのかもしれません。
『エマ』が執筆された頃の英国は階級社会、現代でも形態や基準の異なる"階級"なるものが存在する世の中ですが、第17章でエマは純真で優しいハリエットの涙を見て思います「特別な能力や知性に頼るよりもハリエットを見習った方がはるかに幸せになれるのではないか?」。ハリエットは私生児で頼る身内や親戚も財産もない身の上ですが、世に恨みを抱く事はせずに、与えられたものを素直に受けいれ、真っ直ぐに生きている心優しい女性。
それぞれ人一人分の土俵がありますが、自分自身に合った土俵で相撲をとって人生を送ることが幸福に繋がる事だと物語の後半、ハリエット、エマ、ジェインといった登場人物達が教えてくれる本作『エマ』、時々自分の基準や土俵の中に他人を住まわせ戦わせたり、意に従わせたり、と自己本位に物事を考えたり、進めたりなど、型にはめたがる現代人には必要な作品ではないでしょうか。
異なる境遇や他者の意思を尊重し、目に見えない部分や見せてもらえない部分は何か理由があると教養を働かせて、詮索せずに寛容な精神のもと、今あるその人物の良い部分を受け入れながら付き合ってみると、良い人間関係ができる、と本書を読んだ後に考えました。そしてもし、何か失言や失敗で人間関係を壊してしまった時は、エマの様に勇気をだして誠意を伝える事はとても大切です。
第二部は、ディナータイムにお食事をしながら『高慢と偏見』を中心に会を進行しました。参加者の方は、200年前の英国で行われていた舞踏会やダンスに大変興味がある、とのこと。日本では当時のダンスについての情報を入手するのは難しいかもしれませんが、Facebookでは、欧州のダンスや当時の舞踏会の模様を検索できるので、ご興味のある方は下記の頁をご覧くださいませ♪
「Nel mondo di Jane Austen」
https://www.facebook.com/events/598626110311980/
こうして「Jane Austen」関連を調べていると、欧米のサイトに繋がるのですが、流石に本場ですね、本格的なイベントがあって羨ましいです。
添付の写真は、参加者の方からいただいたワシントンで開催されたシェイクスピアとオースティンのイベントのパンフレットです。あのBBC「高慢と偏見」のダーシーが着ていた白いシャツの展示もあったとかw(*゚o゚*)w。Sさんありがとうございました♪
http://www.folger.edu/exhibitions/will-and-jane
それでは次回の「ジェイン・オースティンの読書会」、2017年6月に課題本『マンスフィールド・パーク』で開催予定です。お楽しみに^^/
以上、宜しくお願い致します。
こんにちは▼o・_・o▼♪9/18(日)に海外文学読書会「アジア世界の文学」を開催いたしました♪
今回は、世界文学を目指すにはアジアや南米、オセアニア、アフリカの文学も取り上げる必要があると考え、"アジア"地域の作家の作品を紹介していただく趣旨の読書会を開催しました。直前に「お好きな本を1冊持参でOK」と、参加基準を変更しましたが、読書会自体はしっかり"アジア"的な内容で盛り上り、紹介された文学作品から歴史を辿ると、そこには「アジアの寛容」が存在していた事実に気付かされるなど、企画してよかった\(*^▽^*)/と思える会となりました。
ご参加された皆様、幅広い地域の本のご紹介、有難うございした。m(。-_-。)m
下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含みます)
※アジア地域以外の作品も一部存在いたします。
『わたしの名は赤』オルハン パムク (著), 宮下 遼 (翻訳)
『インド細密画への招待 カラー版 歴史・宗教・文化を訪ねて (PHP新書)』浅原 昌明 (著)
『阿Q正伝・藤野先生』魯迅 (著), 稲畑 耕一郎 (解説), 駒田 信二 (翻訳)
『オリエンタリズム』〈上〉〈下〉エドワード・W. サイード (著), 今沢 紀子 (翻訳)
『オリエンタリズムの彼方へ―近代文化批判』姜 尚中(著)
『中国の論理 - 歴史から解き明かす』岡本 隆司
『三国志演義』井波 律子 (翻訳)
『駱駝祥子―らくだのシアンツ』老 舎 (著), 立間 祥介 (翻訳)
『血を売る男』余 華 (著), 飯塚 容 (翻訳)
『博士の愛した数式』小川 洋子 (著)
『最終目的地』ピーター キャメロン (著), 岩本 正恵 (翻訳)
『チャイナ・メン (新潮文庫 村上柴田翻訳堂)』 マキシーン・ホン・キングストン (著),藤本 和子 (訳)
『朝鮮短篇小説選』
『シャドウ・ラインズ 語られなかったインド』アミタヴ・ゴーシュ (著),井坂 理穂 (訳)
『座右の日本』プラープダー・ユン (著)
『色』三山 桂依 (著),プラープダー・ユン (著),戸根 由紀恵 (訳)
『ウィーツィ・バット』フランチェスカ・リア ブロック (翻訳), 小川 美紀 (翻訳), 金原 瑞人 (翻訳)
「ガンジー」映画
主催者が西アジアから東に向かってトルコ⇒インド⇒タイの作品までしかたどり着けなかった後を、参加者の方々が引き続き中国大陸⇒朝鮮半島と、まるで文学フルマラソンの様に西から東の国の作品へとバトンを繫いで紹介する事が出来たこと、とても嬉しく誇らしい会でした。参加者の皆様、改めて多謝です。
アジアの世界と言いますと思い浮かぶのは、「発展途上」「貧困」「無秩序」「格差」「差別」「宗教紛争」等マイナスのイメージを持つ方も少なくないと思いますが、かつてのアジア諸国は寛容で柔軟、豊かな文化圏であった歴史的事実があります。
13世紀から17世紀のペルシア(現在のイラン)、アラブ(現在の北アフリカ沿岸、アラビア半島)のイスラム教国の文化は、世界的にも最高の水準の状態で、イスラム教徒が東へ侵入し、その文化を受け入れ融合していったインド圏のヒンドゥー教文化は更に発達、芸術への貢献度も高かった事が紹介された作品から読み取れました。異文化融合の成功例が過去の歴史に存在していたのですね!
近現代先進国と呼ばれる欧米各国の植民地政策で、宗主国の統治、干渉のもと、自国の生産物や資源を搾取される立場に追いやられたインドを代表するアジア諸国は、豊さが失われていくとかつての"寛容"さも失われていきます。
宗主国の植民地政策は、"宗教対立"を利用し植民地を隣国同士で争わせ、植民地の住民を疲弊させ意欲を削ぎ、従属させる事を容易にし、優位性を保つ。強者が勝ち続ける法則は永遠にはない、とローマの歴史は教えているというのに。
現代になって、植民地だったアジア各国の文学が力強く育ち、世界に訴える力をもってきた気運を感じ、この力がアジア諸国を蘇らせ、かつての寛容性を取り戻すことが出来たらと願うのですが、作品によっては国の事情で宗教的、政治的な判断や解釈で削除されてしまう表現や真実が存在するのは残念です。しかし、その様な強制的な表現の剥奪行為があったとしても、アジアの人達の文学に訴える力は封印されるどころか、今にも理不尽な制約の壁を吹き飛ばしそうな勢いを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨日は翻訳者の方も参加され、翻訳業での日本語訳の表現方法やパイオニア、第一人者の翻訳者の功績などのお話で、日本社会は翻訳家の人達のお仕事で世界の中で活動が出来ているのだ、と改めてその恩恵を享受している事を認識する機会にもなりました。欧米文学だけでなく、アジア諸国の日本語翻訳も更に広がるとバランスの良い世界観を日本で養うことが出来るかもしれませんね。
今回企画した「アジア世界の文学」は、当読書会が"世界文学"にチャレンジする踏切板の位置付けになるのかな、と考えております。
初めてトルコ人作家の作品を読んだ衝撃や戸惑い、物語の理解を深めるために行った歴史背景の調査線上で知った事実は、異文化を理解することは、己の知識を高める事に繋がると信じさせてくれました。
参加者は5名、9月の連休の真ん中で調整が難しかった方もいらっしゃるかと思われます。読書会の開催日も柔軟に検討し、企画していく必要もありと、アジアの融合文化の存在を知った事で、悟る事ができました。
「アジア世界の文学」、大変有意義な一時を持てました事、御礼申し上げます。
また来年、宜しくお願い致します。m(_ _)m
下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含みます)
『別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう 』斎藤 環 (著), 水野 和夫 (著), 田中 優子 (著), 高橋 源一郎 (著)
『地中海』フェルナン ブローデル (著), 浜名 優美 (翻訳)
『ひとはなぜ戦争をするのか』アルバート アインシュタイン (著), ジグムント フロイト (著), 浅見 昇吾 (翻訳)
『人はなぜ戦争をするのか エロスとタナトス』フロイト (著), 中山 元 (翻訳)
『血盟団事件 』中島 岳志 (著)
『昭和史』古川 隆久 (著)
『野火』大岡 昇平 (著)
『村田エフェンディ滞土録 』梨木 香歩 (著)
『イスラーム帝国のジハード (興亡の世界史) 』小杉 泰 (著)
『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (著), 三浦 みどり (翻訳)
『ボタン穴から見た戦争』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ (著), 三浦 みどり (翻訳)
『チェルノブイリの祈り――未来の物語 』スベトラーナ・アレクシエービッチ (著), 松本 妙子 (翻訳)
『おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状) 』中條 高徳 (著)
『寛容論』ヴォルテール (著), 中川 信 (翻訳)
『あのころはフリードリヒがいた』ハンス・ペーター・リヒター (著), 上田 真而子 (翻訳)
『戦場の軍法会議: 日本兵はなぜ処刑されたのか 』北 博昭 (著), NHKスペシャル取材班 (著)
『「昭和天皇実録」の謎を解く』半藤 一利 (著), 御厨 貴 (著), 磯田 道史 (著), 保阪 正康 (著)
『日本永代蔵』井原西鶴(著)
『近代世界システム 1600~1750』I. ウォーラーステイン (著)
読書会では、本のご紹介から"戦争"と"平和"について語っていただきました。
・16世紀のイタリアで「商業資本主義」が確立し、利益を追求する富裕層(資本家側)と搾取される貧困層(生産者側)との"格差"が明確になり、商業資本主義が形成された。格差を生み出す社会構造が戦争や紛争を生み出す要因となっていくのではないか。
⇒平和や平等、権利を求める運動が「戦争」という名の手段を使って展開される。
・戦前の昭和初期、今から80年前の日本は、凄まじい社会格差があり、特に農村地区の農家の絶望的な生活苦が存在するなど、社会のしくみが現在とは全く異なっていた時期があり、社会の仕組みを性急に変えようとする動きが起こった。
⇒政治、社会の仕組み、女性の地位が現代とは全く違う社会では、「平等」を求める抑圧された側の人達から運動が沸き起こる構造がある。
・戦場で人間が飢餓状態に陥った時、生き延びるために、果たして"その肉"を食うか、食わないかの壮絶な選択に圧倒された。
⇒"その肉"とは?人として苦悶の選択
・第一世界大戦後のトルコに留学した日本人の外国社会を見る目、国境を越えて、民族や主義主張、多様性を捕らえる事が大切。
⇒自分とは異なる人達のことを考えられるか、が"平和"にはかかせないのでは。
・610年に大天使ジブリールに出合ったムハンマドが開祖となるイスラム教は、当初秩序に欠けていたアラビア半島社会を善き方向へ改革しようとする公正な精神のもと形成された宗教であった。他の宗教を認める寛容さ、"公正さ"が人々に受け入れられ、一体感が広がった。
⇒イスラム教設立当初の公正で寛容な宗教理念は、ウマイヤ朝で確立され、政教一致国家の出現で安定期を迎えるものの、王朝の終焉とともに変遷することになる。
・世界大戦時に「祖国のために!」と想い16歳で前線に出兵したソ連の女性兵士、戦時中にパラシュートでウェディングドレスを作って結婚した女性兵士、狙撃手となった女性兵士、彼女達は戦後、戦場で戦った事を隠しながら人生を送らねばならなかった。なぜなら戦争従事者に対する偏見と憎悪を避けるために。
⇒祖国のために戦った女性志願兵達、戦場で障害者となった為に結婚も出来ず悲惨な人生を送ることになった彼女達が、戦後なぜ偏見にされされる様な目にあわなければならなかったのか?戦争とは「理不尽」
・アメリカの高校に通う孫娘が歴史の授業で「戦争体験をした家族や知人から話を聞くこと」という課題を出された。そして始まったお祖父ちゃんの話は、10代の少年少女にも理解できるような語り口調で、現代の日本人が知らされていない歴史的事実を伝えています。
⇒色々な視点を持つ事が大切
「戦争と平和」の読書会は4回目の夏を迎え、今年から20世紀の世界大戦以外について書かれた本を持参していただき、「戦争」や「平和」について多様な角度から考え、語ってみる場を創ってみました。
時代それぞれの人間社会の文化の発展によって、微妙に形態は異なるのですが、戦争が起こる直前に必ず目につく社会的な要因として「経済的格差」、「人間の尊重軽視」がありました。
中世(以前)から現代まで程度の差こそあれ、上記の2つの現象が私達の生活周辺で目に付く様になった時、水面下で芽吹いている負の要素が何か?予測出来る様に、また大事にならない様にするには早めにどの様な改善が必要か?、私達一人一人が出来る事は何か?など深く考えさせらる一時でした。
書物から過去の事実を検証し、人生に賢く取り入れ運用し未来を切り開く。"先人達が伝えたかった事は何だったのか"、知識を無駄にせず、軽視せず、日々精進していきたいと思います。
8月の「戦争と平和」の読書会、猛暑の中をご参加いただいた皆様、本当に有難うございました。m(。-_-。)m
また来年、機会がありましたらお話しましょう。^^/
2016年8月21日(日)紹介型読書会 「戦争と平和」
こんにちは▼o・_・o▼♪ 8/21日曜日に紹介型読書会「戦争と平和」を開催しました♪
今回は、人類が歴史上起してきた"戦争"と"平和"を取り戻した事実について書かれた本を持参いただき、作品のシェアをしていただきました。
ご参加いただいた皆様、沢山の本のご紹介、有難うございました。m(。-_-。)m
2016年7月17日(日) 紹介型読書会 「ミステリな読書会」
紹介型読書会「ミステリな読書会」を開催しました♪
今回は、"寒くなる様な"、"涼しくなる様な"怖い、不思議、謎、神秘的、超常現象etc・・・、「ミステリ」が書かれている本を持参いただき、作品のシェアをしていただきました。
ご参加いただいた皆様、沢山の作品を有難うございました。m(。-_-。)m
下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含みます)
『だれがコマドリを殺したのか?』イーデン・フィルポッツ (著), 武藤 崇恵 (翻訳)
『赤毛のレドメイン家 』イーデン・フィルポッツ (著)
『僧正殺人事件』S・S・ヴァン・ダイン (著), 日暮 雅通 (翻訳)
『暗い鏡の中に』ヘレン・マクロイ (著), 駒月 雅子 (翻訳)
『迷走パズル』パトリック・クェンティン (著), 白須 清美 (翻訳)
『災厄の紳士 』D・M・ディヴァイン (著), 中村 有希 (翻訳)
『死の蔵書』ジョン ダニング (著), 宮脇 孝雄 (翻訳)
『古書の来歴 』ジェラルディン・ブルックス (著), 森嶋 マリ (翻訳)
『森博嗣のミステリィ工作室』森 博嗣 (著)
『ロング・グッドバイ』レイモンド・チャンドラー (著), 村上 春樹 (翻訳)
『刑事マルティン・ベックロセアンナ 』マイ・シューヴァル (著), ペール・ヴァールー (著), 柳沢 由実子(翻訳)
『サクリファイス』近藤 史恵 (著)
『七つの海を照らす星』七河 迦南 (著)
『鳥―デュ・モーリア傑作集 』ダフネ デュ・モーリア (著), 務台 夏子 (翻訳)
『レイチェル』ダフネ デュ・モーリア (著), 務台 夏子 (翻訳)
『パリの家』エリザベス・ボウエン (著), 太田 良子 (翻訳)
『Yの悲劇』エラリー・クイーン (著)
『蜘蛛の巣 』ピーター・トレメイン (著), 甲斐 萬里江 (翻訳)
『特捜部Q ―檻の中の女』ユッシ・エーズラ・オールスン (著), 吉田奈保子 (翻訳)
『深い疵』ネレ・ノイハウス (著), 酒寄 進一 (翻訳)
『犯罪 』フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳)
『本能寺の変』明智 憲三郎 (著)
『かわいそうだね?』綿矢 りさ (著)
『図書館の魔女』高田 大介 (著)
『ビブリア古書堂の事件手帖』三上 延 (著)
『わが推理小説零年』山田 風太郎 (著)
『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」 』高瀬 毅 (著)
『プラハの墓地 』ウンベルト・エーコ (著), 橋本 勝雄 (翻訳)
『薔薇の名前』ウンベルト・エーコ (著)
『魔女の血族』デボラ・ハークネス (著), 中西和美 (翻訳)
『その女アレックス』ピエール ルメートル (著)
『悲しみのイレーヌ 』ピエール ルメートル (著)
『図書館の死体』ジェフ・アボット (著)
本日のお題は「お薦めのミステリ作家」。
1.アガサ・クリスティに文章の手ほどきをした作家フィルポッツ
2.何度でも読み返すS・S・ヴァン・ダイン
3.古書を巡る物語を上手に展開するジョン・ダニングとジェラルディン・ブルックス
4.エラリー・クイーンの「Yの悲劇」でミステリの洗礼を受けた(複数人)
5.作家本人が面白い森博嗣
6.警察ものの金字塔刑事マルティン・ベックの著者マイ・シューヴァル、 ペール・ヴァールー
7.忘れがたい一場面が必ずある綿矢 りさ
8.短編を連ねて大きな物語にする七河 迦南
紹介された作品群から、ミステリ作家達は国境を越えてお互いに影響を受け合いながら創作活動をしており、相互拡散関係がある事を知ります。
お題に出てきたヴァン・ダインはフィルポッツを日本に紹介して江戸川乱歩が賞賛、ダニングとブルックス、アボット、エーコは「書」や「図書館」を巡る物語を展開し、特殊な世界の実態を読者に伝えています。クイーンは日本でも多くのファンを獲得し、「血筋」にまつわるミステリは、横溝正史の作品を連想させます。
ドイツミステリの日本での普及に翻訳家方の多大な尽力がある、とのお話があり、北欧ミステリとともに今盛り上がっている様子で、今回本のリストには翻訳者のお名前も併記いたしました。
私達日本人が原書ではなく、日本語で海外小説を楽しめるのは、翻訳家の方達のお仕事のお陰です。何気なく海外作家の作品を「読書」していても翻訳家が異なる事で、表現の濃淡や意味の伝え方、微妙なニュアンスも受け取り方が異なってくる、不思議な翻訳本の世界があります。あまり知られていない様ですが、これだけ海外の出版物を各分野にわたり母国語で読むことができる環境がある日本人は幸運なんだとか。
以前、翻訳家の方にお会いした時、「翻訳業界は今、仕事の評価が低くなって大変なんですよ」というお話をうかがいました。読者はその恩恵を受けて様々な海外出版物に接する機会があるのに・・・。
最近、海外古典作品の新訳や復刻版も増えているそうです、これを機に翻訳本普及の輪が広がると良いですね。^^/
本日の「ミステリな読書会」は、海外古典名作ミステリから現代日本ミステリ作品までフィクションが多く集まりました。ミステリ好きの読書家の方達が集まると、普段聞けない様なミステリの潮流やミステリ史のお話を聞けてお得感大でした♪
なんでもミステリ小説の中にもジャンルがあり、紹介されたコージー・ミステリ(cozy mystery)とは、日常的な場面でのミステリーであることを示し、暴力表現を極力排除しているジャンルであるとのことで、近年のミステリ小説の残忍さ陰惨な殺人場面など痛いシーンを多く読みすぎると、今後はcozyな雰囲気でミステリを楽しみたい!と思いました。
人体、科学、宇宙の謎、そして未発見の過去の人類史の謎から日常生活の中で発生する対人関係の心の謎、私達一人一人がミステリなこの世の中、ミステリ好きな皆様、何処まで何を探ってまいりましょうか?
本日は、"ミステリ"に絞り、作品の紹介テンポも良く、楽しい会となりました事、有難うございました。m(_ _)m
また、来年の夏"ミステリな読書会"でお話出来たら幸いです。
2016年6月19日(日) 第7回ジェイン・オースティンの読書会 『高慢と偏見』シーズン2
こんばんは▼o・_・o▼♪ 6/19(日)「第7回ジェイン・オースティンの読書会 『高慢と偏見』シーズン2」を開催いたしました。
読書会会場は、横浜市中区山手町にある西洋館。そして会場お隣のチェリーサンドが有名な「えの木亭」でランチ会後に、読書会を開催する運びとなり、ジェイン・オースティンの作品に興味のある方達10名で開催いたしました。☆^^☆
横浜西洋館が会場時は、毎回読書会の前後に会場の設置やお茶の用意など、参加者の方々にお手伝いいただき、手作り感満載の雰囲気、今回も参加者の方々のテキパキさに助けられ、無事開催する事が出来ました。遠い会場にもかかわらず、当日はお越しいただき、また色々お手伝いいただき、大変感謝しております。本当に有難うございました。m(_ _)m
参加者の方が持参された翻訳本は、下記の5名の翻訳者の作品です。章立ては、5冊とも1章から61章まで。
『高慢と偏見』
阿部 知二(翻訳)河出文庫
中野 康司 (翻訳)ちくま文庫
小尾 芙佐 (翻訳)光文社古典新訳文庫
『自負と偏見』
中野 好夫 (翻訳)新潮文庫
小山 太一 (翻訳)新潮文庫
『高慢と偏見』『自負と偏見』は翻訳者が多く、第一章のベネット氏とベネット夫人の会話をそれぞれ参加者の皆様に音読していただき、各翻訳本の表現の違いを理解していただく事から始め、100年前に夏目漱石が『文学論』で「高慢と偏見」の第一章を翻訳した一節もご紹介、皆様どちらの翻訳本に感性がフィットされましたでしょう。
さて、今回のお題は『高慢と偏見』で一番印象的なor好きな人物。
「好きな人物」では、エリザベスとダーシーが4人ずつ、ジェイン、ガーディナー夫人という名が挙がり、
「印象的な人物」では、コリンズ氏5名、キャサリン・ド・バーグ夫人とベネット氏が3名ずつ、メアリとシャーロットが2名ずつ、リディア、ジェインの名が挙げられました。やはりコリンズ氏が一番印象的な人物なんですね(笑)
読書会は1章から61章を3つに分けて、気になる場面印象に残った場面を皆様にお話いただき、あの名場面、珍場面が続々ご紹介されました。
・天候の悪い日に馬で娘を外出させて風邪をひかせたベネット夫人の目論見
・感情を表に出さないと好きな人の心を掴み損なってしまう、というシャーロットの意見
・メアリは一生懸命なんだけど、どこか空気を読めないところが残念
・ウィッカムの善人ぶり、打ち明け話をしたのは、なぜかエリザベスだけ、狙ったの?
・なぜ突然ビングリーはジェインの前から姿を消したのか?
・ダーシーの本質を理解した時のエリザベスの気付き、エリザベスの方が高慢では?
・恋愛経験なしで伴侶を見つけなければならない時代のプロポーズ、身分の高い男性が断られる事は想定外だった!
・何でも良い方に考えるジェインは、実は危険な人物ではないか
・キャサリン・ド・バーグ夫人に対して、一歩もひかないエリザベスの態度は堂々としてあっぱれ!
以上他、参加者の方々からは沢山のご意見ご感想をいただき、時々ジェイン・オースティンが生きた時代の文学史の流れや歴史背景も紹介されるなど、大変有意義な3時間を過ごす事が出来ました。
『高慢と偏見』を課題本にした読書会は、当会では2度目(スピンオフを含むと3回目)なのですが、読み返す毎に読後感が異なり、それぞれの登場人物に一番愛着が沸いてしまう作品なのは、なぜだろう?と毎回思います。
主人公のエリザベスや父親のベネット氏の「笑いのスキル」に感心し、コリンズ氏やキャサリン・ド・バーグ夫人、ミス・ビングリーの"余計な発言や行動"が、なぜか主人公達に勇気と希望を与えてしまい、滑稽で皮肉な作用が幸せを呼び寄せる面白さを平凡な日常生活に織り込んで読者をニヤリとさせる作家、ジェイン・オースティン。漱石の言葉を借りますと、「Austenの深さを知るものは平淡なる写実中に潜伏し得る深さを知るべし」とのこと。
『高慢と偏見』を読んで、エリザベスの笑いのセンスで、現代社会のストレスを笑い飛ばし、ジェインの様に物事の奥底にある何かを模索する賢さを持って、ガーディナー夫人の様に大らかな心で人生を歩んでいけたなら・・・"理想の人生"に近づけるかもしれません。
今回は、第2シーズンの「ジェイン・オースティンの読書会」の第一回目、課題本は一番の人気作品と言われる『高慢と偏見』で開幕。見逃してしまった方は、人気俳優や有名女優が主演している映像作品や漫画でもオースティンの魅力を味わう事が出来ますので、是非ご鑑賞くださいませ。
高慢と偏見 - コリン・ファース出演のイギリスBBC制作のテレビドラマ(1995年)
プライドと偏見 - キーラ・ナイトレイ主演の映画(2005年)
高慢と偏見(著:望月玲子、宙出版)
次回、「第8回ジェイン・オースティンの読書会 『エマ』シーズン2」は、10月16日(日)開催予定です。引き続き、宜しくお願い致します。m(。-_-。)m
2016年5月15日(日) 「アルフレッド・アドラーの読書会」
5月15日(日)に「アルフレッド・アドラーの読書会」を開催しました。
ご参加いただいた皆様、有難うございました。
今回は、NHKの「100分de名著 アドラー『人生の意味の心理学』2016年2月号」をテキストに使用し、会を進行していきました。皆さん、それぞれアドラー関連の著作をお読みなり、核となるテーマでは、思い思いの意見が飛び交い、充実した2時間を持つ事が出来ました、有難うございました。m(。-_-。)m
さて、下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含む)
『NHK 100分 de 名著 アドラー『人生の意味の心理学』 2016年 2月』
『嫌われる勇気』岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
『幸せになる勇気』岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
『アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために 』岸見 一郎 (著)
『人生の意味の心理学』アルフレッド アドラー (著), 岸見 一郎 (翻訳)
『個人心理学講義―生きることの科学』アルフレッド アドラー (著), 岸見 一郎 (翻訳)
『子どもの教育』アルフレッド アドラー (著), 岸見 一郎 (翻訳)
ちょうど良いタイミングで今年の2月にNHKの「100分de名著」にアドラー『人生の意味の心理学』が取り上げられ、以下の4つのタイトルを柱に、持参された著作から意見を募り、進めていきました。
1.人生を変える「逆転の発想」
2.自分を苦しめているものの正体
3.対人関係を転換する
4.「自分」と「他者」を勇気づける
「変われない?変わりたくない?」では、
・"生まれつきだから"という事を理由にすれば努力する必要はないし、ライフスタイルを変えなくても良く、その方が楽だから。
・変わろうとする気持ちを力にする。弱いと流されるから。
・変わりたくないから条件をつけて、「だから変われないのだ」と思いたい。
「課題の分離」では、
・他人の目を気にしない、自分自身の目標実現に向かって嫌われる勇気を持って進む。
・親が子供にしてあげる事は、自立させる事であり、これは子供に自由を掴むスキルを与えること。
上記以外でも、「アドラー心理学は西洋文明から来ている概念だから、日本だと違う発想かもしれない」、「努力したくても、身体的遺伝はどうしても関係してしまうのでは?」等、アドラー心理学を理解し、実践し、更に続けるのは難しい、という意見は多かったですね。
アルフレッド・アドラーの『人生の意味の心理学』では、人生には3つの課題があり、この3つの課題にどう反応して生きるか、ここに人生の意味がある、とのこと。彼の時代から現代の人類の文明は著しく飛躍したため、一部当てはまらなくなった概念もありますが、上手に読み替えて"勇気の心理学"を取り入れて前に進みましょう。"人は誰にも何にも支配されない"のですから。
それでは参加された皆様、普段取り扱う事が少ない心理学を語り合う読書会に、ご参加いただき、貴重なお話を有難うございました。^^/
2016年4月17日(日)、紹介型読書会「春の読書会」
こんにちは▼o・_・o▼♪4/17(日)紹介型読書会「春の読書会」を開催いたしました。
会場は、北欧調漂うお洒落な雰囲気のOSLO COFFEE、通常の開始時間より早めの11:30から読書会を開催。参加者の皆様の本のご紹介に聞き惚れて、思いもかけず、15時まで会が長引き、過去最長の読書会となりました事、有難うございます。
KINGとQUEENの名がついた美味しいコーヒーとワッフルやサンド類をいただきながらの本のシェアは、話が弾み、大変有意義な一時を過ごす事が出来ました。
ご参加いただいた皆様、有難うございました。m(。-_-。)m
さて、下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含む)
『スミレのように踏まれて香る』 渡辺和子 (著)
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』村上 春樹 (著)
『あなたは、なぜ、つながれないのか: ラポールと身体知』高石 宏輔 (著)
『絶望名人カフカの人生論 』フランツ カフカ (著), 頭木 弘樹 (翻訳)
『リトル・ウイング』吉富 多美 (著), こばやし ゆきこ (イラスト)
『ヴェネツィアの宿』須賀 敦子 (著)
『嫌われる勇気』岸見 一郎 (著), 古賀 史健 (著)
『奇跡の絶景 心を整える100の言葉 』いろは出版 (編集)
『レジリエンス 復活力』アンドリュー・ゾッリ (著), アン・マリー・ヒーリー (著), 須川 綾子 (翻訳)
『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』佐々 涼子 (著)
『物語ること、生きること』上橋 菜穂子 (著), 瀧 晴巳 (著)
『【ポケット版】「暮しの手帖」とわたし (NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』モチーフ 大橋鎭子の本) 』大橋鎭子 (著)
『地下街の雨』宮部 みゆき (著)
『魂の文章術―書くことから始めよう』ナタリー ゴールドバーグ (著), 小谷 啓子 (翻訳)
『オレたちバブル入行組 』池井戸 潤 (著)
『道しるべ』 ハマーショルド (著)
『菜根譚』洪自誠 (著)
今回の読書会のお題は「私のレジリエンス体験」。
・読書会クライシスを経験後、協力と信頼を得た感謝として新しい試みを実践できた。
・イベントの主催を担当する時に、"主催の目的は何か"を見つめなおして自分を発見できた。
・世界放浪の旅を経て日常から離れる体験を自身に課すことによって、レジリエンス力をUPしてきた。
・バックグラウンドの異なる人達と接し、日常生活と異なる場所に身を置く事でレジリエンス力を養う。
・新人時代、最初に与えられた仕事の意味が分からずとも、上司の指示に従う忍耐力を身につけた事が後々の仕事の習熟度を高める事に繋がった。
・新人はまず営業を担当、という企業に入社し、なぜなぜ?の毎日だった時に、ある本に出逢い助けてもらった、現状を自分に納得させる事で逆境を乗り越える事ができた。
・都内で仕事をする上で、自分の力で生きていく決意をし、過去と今を肯定しないと前に進めないと理解できたこと。
「春の読書会」はジャンルフリー、だけど裏テーマがある読書会。今回3年目となる会ですが、テーマは「レジリエンス」でした。心理学で"逆境を乗り越える力"など、精神面の印象が強い言葉ですが、土木工学、生態学、心理学、ビジネス等その定義は様々な分野で用いられています。レジリエンスの2つの本質は変化に直面した際の「継続性」と「回復」。予期せぬ出来事に遭遇した時に、完全に崩壊していくものと、しなやかな回復をするものとがありますが、この違いは何か。
今回は、ジャンルフリーのお持ちになった本から、それぞれ忍耐力や寛容を学んだ、落ち込んだ時に共感し救われた、そして勇気づけられたというお話が参加者から多く語られました。
疎外感、絶望、自虐、ネガティブ、シャイ、いじめ、孤独、内向型とマイナス要素よりの題材が取り上げられた作品を紹介される中、極めつけはある職業の存在でした。第10回開高健ノンフィクション賞受賞した佐々涼子(著)『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』では、国境を越えて遺体や遺骨を故国へ送り届ける「国際霊柩送還」という仕事に迫り、死とは?、死生観による遺体に対する各国の考え方の違い等、どっしりと重たい雰囲気に落とされた読書会の皆さん|||(-_-;)||||||
生まれたからには人間は、死に向かって進んでいるとも言えますし、ただ死んでしまっては、逆境に立ち向かうことも出来ません。限りある生をどう生き抜くか、終わりのある人生を考える機会は、自己リセットの機会でもあり、決してマイナスな事ではありませんし、0地点から考える事は、むしろチャンスかも。
参加者の方々は20代かベテラン社会人40代、大きく2つの世代に分かれて本のシェアをいたしました。自然と「時」を感じる話題があがり、仕事で古書の整理をしていると時代判定は「紙」ではなく、「字」が時代を表しているとのこと。また20代の方から「ハブられる」という言葉を使って本の紹介をされると、40代の2名は「それは何と言う意味の日本語?」と聞き返すなど、世代や時代で、使用する文字や言葉が異なるリアル体験をすることに。w(゚o゚)w
そうでした、言い出すのを忘れてしまったことが。人付き合いや人間関係についてのお話が語られましたが、この場でお伝えすると、洪自誠の『菜根譚』から、人付き合いの極意は、"譲ること" だそうです。ヽ(*^^*)ノ
読書会では、普段自分一人では考えないテーマや事象を参加者の方々から拝聴できるので、免疫力UP。世代も職業も価値観も異なる方達が集って3時間半、そのうち自己紹介に1時間も使った前代未聞の会(笑)となりました「春の読書会」、大変楽しい会となり、感謝しております。皆様、有難うございました。^^/
2016年3月20日(日)、海外文学読書会「フランス人作家の会」
海外文学読書会「フランス人作家の会」を開催致しました♪
参加された皆様、この度はフランス人作家の本をご紹介いただき、有難うございました!
今回は、東京国際文芸フェスティバル2016のオリジナルイベントとして参加させていただき、私達の会が最終日のオリジナルイベントとなりました。
フランス人作家に興味のある方々と、文芸フェス各メインイベントの話題とご持参の本がリンクし、中身の濃い内容となりました事、大変嬉しく思っております。本当に有難うございました。m(。-_-。)m
さて、下記は紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含む)
★印は、Kindle無料作品も有、但し翻訳者異なる場合があります。
『恋愛論』スタンダール (著), 大岡 昇平 (翻訳)
『赤と黒』スタンダール (著), 小林正 (翻訳)
『ブラン・マントー通りの謎』ジャン=フランソワ・パロ
『鉛を呑まされた男』ジャン=フランソワ・パロ
『ロワイヤル通りの悪魔憑き』ジャン=フランソワ・パロ
★『レ・ミゼラブル』ユゴー (著), 佐藤 朔 (翻訳)
『マダム・エドワルダ―バタイユ作品集』G.バタイユ (著), 生田 耕作 (翻訳)
『ソドム百二十日』 マルキ・ド サド (著), 渋澤 龍彦 (翻訳)
『新ジュスティーヌ』マルキ・ド サド (著), 渋澤 龍彦 (翻訳)
『新車のなかの女』セバスチアン・ジャプリゾ (著), 平岡 敦 (翻訳)
『殺人交叉点』フレッド カサック (著), 平岡 敦 (翻訳)
『シンデレラの罠』セバスチアン・ジャプリゾ (著), 平岡 敦 (翻訳)
『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル (編集), 橘 明美 (翻訳)
『地図と領土』ミシェル ウエルベック (著), 野崎 歓 (翻訳)
『素粒子』ミシェル ウエルベック (著), 野崎 歓 (翻訳)
『服従』ミシェル ウエルベック (著), 佐藤優 , 大塚桃 (翻訳)
『椿姫』デュマ
『ボヴァリー夫人』フローベール
『マノン・レスコー』アベ・プレヴォー (著), 青柳 瑞穂 (翻訳)
『シュルレアリスム宣言・溶ける魚 』アンドレ ブルトン (著), 巖谷 國士 (翻訳)
『ペール・ゴリオ』バルザック (著), 鹿島 茂 (翻訳)
『ゴプセック』バルザック
『十三人組物語』バルザック (著)
『ナナ』ゾラ (著), 川口 篤 (翻訳), 古賀 照一 (翻訳)
『カンディード』ヴォルテール (著), 植田 祐次 (翻訳)
『寛容論 』ヴォルテール (著)
『異邦人』カミュ (著)
『ペスト』カミュ (著)
『わらの女 』カトリーヌ・アルレー (著), 安堂 信也 (翻訳)
『ペギー・スー』セルジュ・ブリュソロ (著), 町田 尚子 (イラスト), 金子 ゆき子 (翻訳)
『セリーヌの作品〈第13巻〉リゴドン』L.F.セリーヌ (著), 高坂 和彦 (著)
『あのころはフリードリヒがいた』ハンス・ペーター・リヒター (著)
『東方綺譚』マルグリット・ユルスナール (著), 多田 智満子 (翻訳)
『ハドリアヌス帝の回想 』マルグリット・ユルスナール (著), 多田 智満子 (翻訳)
『パルムの僧院』スタンダール (著), 大岡 昇平 (翻訳)
『脂肪のかたまり 』ギー・ド・モーパッサン (著)
『女の一生』ギー・ド・モーパッサン (著)
『フランス組曲』イレーヌ ネミロフスキー (著), 野崎 歓 (翻訳), 平岡 敦 (翻訳)
『グランド・ブルテーシュ奇譚』バルザック(著)
★『にんじん』ルナアル (著), 岸田 国士 (翻訳)
『愛人 ラマン』マルグリット デュラス (著), 清水 徹 (翻訳)
『歴史入門』ブローデル(著)
『フランス小説の扉』野崎歓(著)
今回の読書会のお題は「このフランス人作家との出逢い」、参加者の方達が本を紹介された時、その本に出会ったきっかけや読後の想いは何かをまとめてみました。「出版された事が歴史的奇跡、世界大戦時の物語(ネミロフスキー)」「会社の同期の愛読書(ユゴー)」「映像から興味をもった(パロ)」「エロティシズム(バタイユ)」「前作が話題、本屋大賞 翻訳小説部門1位(ルメートル)」「文芸フェスで野崎歓先生の講演を拝聴後興味を持つ(ウェルベック)」「理想主義ではなく現実的(ヴォルテール)」「文体が踊っている(セリーヌ)」「贈られた本(ユルスナール)」読書会では、よく「原作を読んで映像作品を楽しむ」方と、「映像作品から興味を持ち原作を読む」方のお話を聞きます。今回も双方の楽しみ方や物語を発見した経緯など、皆さん様々な読書の登山口をお持ちで、一度その世界に足を踏み込むと、新しい景色を見ようと山の頂上を目指し、その過程で"読書の枝葉"が伸びる体験を積んでいる参加者の方達が一同会いそろった場は、まるで個性的な"知の木"が生息する不思議な森が誕生したかの様でした。
今回はフランス文学にご興味のある方々で、ご自身の好きな作品を語り合う読書会、普段なかなか自分の周りに同じ作家を読む人がいず、本のシェアが出来なかった方達が、これもあれもと次々と名作佳作を紹介し、知らなかった作家や作品を教えていただき、またまた"読みたい本"を発見でき、大変楽しく有意義な時間を過ごす事が出来ました。有難うございます。文学以外でも、フランスミステリ作品から北欧ミステリへ、欧州の著名な作家へと話題が繋がることに。
『罪悪』フェルディナント・フォン・シーラッハ (ドイツ)
『緑衣の女』アーナルデュル・インドリダソン (アイスランド)
『ユリシーズ』ジョイス(アイルランド)
19世紀の作家ゾラ、ユゴー、バルザックの当時のフランス上流階級への反骨精神から、世に物事を訴える「文学の力」を感じ取り、同じ傾向の日本人作家の作品と比較する醍醐味、錚々たる文豪達の作品が紹介された中で、現代のフランス社会の闇を映し出したミステリ、ユダヤ人、ダーウィンの進化論、優勢遺伝、第一次世界大戦の敗戦国ドイツの歴史等々、適度なバランスを保ちながら、文学以外にも話が繋がった事に驚くと同時に更に読書から学ぶことは沢山ある、と悟ります。
面白かったのは、フランスの児童文学で、日本人の感覚とは一味違う物事の解釈や判断がある事を知る事が出来ました。大人が子供を食べちゃう話、意地の悪い母親は最後まで意地の悪いまま、という人間は変われない事実、真実が本当に役に立つのか?という問いかけ、普通は救われる話が救われない事実、努力しても報われない人生、様々なそこにある現実を文学から、フランス人の思想や文化を感じて学ぶのは、何と楽しい事でしょう!
変えられない現実を突きつけられた時、人はどう現実に向き合って前に進むのか、流石は自国の王族を倒して自由を勝ち取った国民性、そこには不屈の精神と柔軟な判断力(切替しが早い!)が感じられます。
後半、フランス在住の方がお一人、Skypeでテスト参加され、フランス人作家の作品って好きじゃない!と真逆な発言も飛び出し一同(爆笑)。
読書会の一行コメントに「英米文学とは何か違う!フランス文学での愛」と記載したので、このフランス文学での愛について触れますと、どうやら英国上流社会と仏上流社会の貴族社会では、愛についての寛容さや、所有についての感覚が異なっていたという事実(※バルザック作品参考)があり、日本人の感覚とは何処か違い、この辺でも(社会的立場、時代背景にもよりますが)"自分達のモラルや主義主張が必ずしも異国の人達と同じではないのだ"という事がわかります。
※バルザック著『ざくろ屋敷』、映像化作品は、日本人青年の手によって蘇った19世紀フランス文学作品として、世界ソレイユドール新人賞を受賞。
昨年に引き続き、2回目の海外文学読書会「フランス人作家の会」、今年は文芸フェスのオリジナルイベント参加の会となり、開催の5ケ月前から準備、文芸フェスの事務局の方々にもご支援いただき、参加者の皆様にもご協力いただき、無事開催する事が出来ましたこと、本当に有難うございました。m(。-_-。)m
今後も引き続き、海外文学が広く読まれる事を願って、私達の読書会も精進してまいります。
どうぞ宜しくお願いいたします。
東京国際文芸フェスティバル2016 オリジナルイベント参加
2016年2月21日(日) 「ジェイン・オースティンの読書会 『分別と多感』プラスα」
東京国際文芸フェスティバル2016 オリジナルイベント参加
こんにちは。▼o・_・o▼♪ 2月21日(日)に「ジェイン・オースティンの読書会 『分別と多感』プラスα」を開催いたしました。
読書会レポートが3月より遅くなりまして、大変お待たせいたしました。m(_ _)m
2月の読書会は、代官山にある東京バプテスト教会近くのサーモンピンクが愛らしい一軒家イタリアンのお店で開催。素敵な店内でジェイン・オースティンの2作品を取り上げました。ご参加いただいた皆様、有難うございました。m(。-_-。)m
この会は2015年10月に開催した第6回ジェイン・オースティンの読書会 課題本『分別と多感』のスピンオフ企画、そして東京国際文芸フェスティバル2016(http://tokyolitfest.com/)のオリジナルイベントとして参加いたしました。
前半に『分別と多感』、後半に『ノーサンガー・アビー』を課題本として、過去参加者の方々にはふりかえり、新規ご参加者の方にはそれぞれ、好きな登場人物と気になる場面をお伺いしました。途中フランスからSkype経由で1名の方が読書会に参加、日本と海外の時差も乗り越え、楽しい一時を持つ事ができました。
この日のお題は、「あなたの好きな女流作家」。参加者の方達のお薦めの女流作家は下記の通り、()内は代表作品名です。
ジェイン・オースティン 3名(高慢と偏見)
アリス・マンロー(イラクサ)
バージニア・ウルフ(ダロウェイ夫人)
マーガレット・ミッチェル(風と共に去りぬ)
モンゴメリ(赤毛のアン)
ジーン・ウェブスター(あしながおじさん)
ルイーザ・メイ・オルコット(若草物語)
トーベ・ヤンソン(楽しいムーミン一家)
山崎豊子(大地の子)
ユン チアン
イーユン・リー
ジェイン・オースティン好きな読書家の皆さんが集まると、話題は長編6作品の登場人物の話で盛り上るのですが、中でも『高慢と偏見』のエリザベスはよく取り上げられ、今回も↑『若草物語』の四姉妹の一人がエリザベスではないか等、なるほど、確かにベネット家の5人姉妹とマーチ家の4姉妹、どこか共通点があるかもしれません。
■『分別と多感』のふりかえり
・エリナーの聡明さとマリアンの自分の過ち、エリナーの分別は正しかった。
・エリナーの分別のバランスがスゴイ!
・ルーシーが婚約の話をした時のエリナーの表情
・大佐とエリナーの博愛と特別な友情を誤解したジェニングズ夫人とエリナーが、認識の異なるままお互いが違うことを話しているのに、なぜか暫く話が噛み合っている所が面白い。
・エドワードが窓辺でモジモジして他家のハサミを駄目にしちゃう場面、かわいい。
・ロバートは初めルーシーを良く思っていなかったのに最後は結婚!?
・なぜ大佐は、イライザ・ウィリアムズの娘のイライザではなく、マリアンに惹かれたのか。
■『ノーサンガー・アビー』のふりかえり
・ティルニー将軍って、酷い!→全てお金を基準に物事を考えていたらしい。
・ジョン・ソープが嘘をついてキャサリンをドライブに誘った後、キャサリンは一生懸命にエレノアとヘンリーに弁解に行った場面。
・成長余地のあるキャサリン、主人公が成長する物語に共感できる。
・キャサリンの突っ走ってるところに共感する。
・純粋なキャサリンと計算高いイザベラとジョン兄妹の対比、オースティンの見方にユーモアを感じる。
・18世紀の他の作者の小説が取り上げられて、当時の流行が分かる。
『ノーサンガー・アビー』の会では、参加者の方から「バースの地図」の資料を提供いただき、登場人物のバースでの行動範囲が視覚的に把握でき、読書体験が更に深まりました。Kさん、素敵な資料を有難うございました。ヽ(*^^*)ノ
昨年開催した読書会のスピンオフ企画として、『分別と多感』と『ノーサンガー・アビー』の2作品を駆け足で語り合った「プラスα」版も今年で3回目、丸3年経過しました。
ジェイン・オースティン(1775年12月16日 - 1817年7月18日)は、かの夏目漱石も「写実の泰斗なり」と絶賛し、モームに「素晴しく面白く読める」と言わしめたイギリスの200年前の女流作家。
「ジェイン・オースティンの読書会」の開催目的は、日本でも"結婚"や"人生設計"について早い時期からもっと真剣に考える場があった方が良いし、オースティンの作品は、人生について、人間関係について、私達の日常に必ず存在する人物像(「こういう人、確かに会社にいるよね」)を物語に登場させ、人生模様を面白おかしく展開、読者にリアル体験なしでも様々な人生教訓を悟らせてくれる名著がそろっており、長編6作品のどれを手にとっても、ページをめくる手が止まりません。w(*゚o゚*)w
"古典文学再発掘"も読書会のミッション、本の系譜を探り読書の枝葉を伸ばすには、ある分野のパイオニア的作家の著作は是非とも読んでおきたいし、名作の独り占めは勿体ないでしょう?
当読書会は2013年から毎年2作品のオースティン作品を課題本にして海外文学の良さを広めようと活動してきました。2015年10月に無事、6冊目の課題本『分別と多感』を取り上げる事が出来、オースティン作品6作品それぞれを出版200周年や季節感を考えて読書会を開催できた事は、本当に嬉しい快挙でした。
これまで参加された皆様、応援してくださった方々、有難うございました。m(。-_-。)m
今後も2018年までは「ジェイン・オースティンの読書会」を続投(毎年2冊ずつ)してまいります。
まだオースティンの作品を読んでいない読書家の方々、是非とも平凡ながら偉大な英国女流作家の作品を手にとって、機知や叡智を学びとっていただけたら、またご自身の"自負と偏見"を見つめなおす機会を持てたら、そして周囲の方々に"素敵な発見"の"お裾分けを広めていただけたら、と皆様の更なる世界文学の力活用術UPを願っております。
次回は、6/19(日)に「第7回ジェイン・オースティンの読書会 『高慢と偏見』シーズン2」を開催します。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。^^/
2016年1月17日 テーマ型読書会「日本の夜明け-大正時代-」
テーマ型読書会「日本の夜明け-大正時代-」を開催致しました。
本日は20代から70代の幅広い年齢層の方々が参加され、実生活で体験された、見聞きされた昔のお話などしていただき、若者(?)達は、大変楽しかったです。(笑)参加された皆様、お疲れ様でした^^/
下記は、本日紹介された本のリストとなります。(順不同、口頭紹介も含む)
★印は、Kindleで無料の作品です。
『日本近代史』坂野 潤治(著)
『大正デモクラシー―シリーズ日本近現代史〈4〉』成田 龍一(著)
★『こころ』夏目漱石(著)
★『道草』夏目漱石(著)
『漱石の思い出』夏目鏡子(著)
『明治・大正・昭和』中村光夫(著)
『近代日本文学の展望』佐藤春夫(著)
『作家の態度』福田 恆存(著)
『文学の三十年』宇野 浩二(著)
『冥途・旅順入城式』内田百間(著)
『きもの』幸田文(著)
『おとうと』幸田文(著)
『流れる』幸田文(著)
★『小さき者へ・生れ出づる悩み』有島 武郎(著)
『大正時代の身の上相談』カタログハウス
★『自叙伝』大杉 栄(著)
★『内田百間氏』芥川 竜之介(著)
『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』加藤 直樹(著)
『学生時代?』久米 正雄(著)
『東京震災記』田山花袋(著)
『東京の三十年』田山花袋(著)
★『布団』田山花袋(著)
★『田舎教師』田山花袋(著)
★『破壊』島崎藤村(著)
『大正天皇』原 武史(著)
『日本的霊性』鈴木大拙(著)
『明治大正史 下』中村隆英(著)原 朗、阿部武司(編)
『夢のふる郷』竹久夢二(著)
『どんたく』竹久夢二(著)
『戯作三昧・一塊の土』芥川龍之介(著)
さて、本日の読書会のお題は「尊敬するもしくは好きな"大正時代の人物"」。紹介された人物は、夏目漱石、竹久夢二、原敬、鈴木大拙、芥川龍之介、佐藤春夫、内田百間、谷崎潤一郎、志賀直哉、森鴎外、中原淳一、幸田文、江戸川乱歩、永井荷風等々、錚々たる文豪、政治家、実業家、芸術家の名前があがりました。
また紹介された本の著者以外にも、事件に関連した人物として、女性運動家の市川房江氏、吉野作造氏、大正天皇の名が飛び交い、若い方達の頭の中では(?)マークが浮かんでいた場面も。
大正時代は、"大正ロマン"、"大正デモクラシー"、日本史上に"モボ・モガ"などの若者文化が到来するなど、文芸、食文化、ファッション、女性解放運動の気運をみても戦前の日本社会に"新しい何か"が芽吹いていた時代、国中で"自由を"謳歌していた平和な時期であり、人間生活に余裕が生まれると新しい文明が生まれる現象を理解しやすい時期でもあります。
話題に上った『大正時代の身の上相談』では、大正時代の人々も現代人と同じように人間生活を営む上での悩み事があり、その悩みを新聞紙上(読売新聞)で相談し、相談員は真面目に相談事に回答していたとのこと。100年前の日本人も現代と変わらず、仕事、恋愛、結婚、家族、体形、容姿、対人関係について悩んでいた!「娘の求婚者が醜いので断りたい」なんて・・・ITが発達した現代と異なり、レスポンスが遅いのに耐えていた大正時代の相談者の方々、出来れば"相談後の行方"も聞いてみたい!(笑)とも思いました。断ったのかしら?
幸田文(著)『おとうと』では、市川崑監督の生誕100年記念映画祭「市川崑 光と影の仕草」の話が出て、「あの映画は良いから是非観てみて~」と、年齢の高い方から言われると、説得力があって「是非観たいです!」となり、経験知の高い方々との読書共有時間は、同年代の人達で集う読書会とは異なるお得感があり、知識や情報の授受って素晴しい!と思いました。
テーマ型読書会では、毎回レジメを配布していたのですが、今回は主催者が間に合わず断念したところ、参加者の方が、「大正文藝-その様々なる意匠」という資料を用意してくださり、大変助かりました。Hさん、有難うございました!!明治後期から大正時代、昭和初期に繋がる一連の作家群、文芸思潮分類は、まるで国語の授業の時間の様で、高校時代を思い出し、大変有意義な時間を持つ事が出来ました。ご協力とご尽力に多謝です。
大正時代は、中華民国成立(1912年)第一次世界大戦(1914年~1918年)、ロシア革命(1917年)、国際連盟成立(1920年)、ナチス党(独)、ファシスト党(伊1921年)が結成され、ソビエト社会主義共和国連邦成立(1922年)等、世界史上での重要な事件事象が海外の列強国で起こった時代でもありました。この間、日本経済は欧州の戦争特需に沸き、工業も発展し、一気に近代化が進みますが、第一次世界大戦終結後は、過剰な設備投資と在庫の滞留が原因で景気が悪化、そして1923(大正12)年には、関東大震災が起こり、景気の回復が見込めないまま、昭和の時代を迎える事になります。
この大正時代の日本と世界の相関図、現代の世界状況と何処かが似通っているな、と感じられる方はどの位いらっしゃいますでしょう。
自然災害は地球規模の事象ですが、世界中で起こっている紛争は、私達人間や国家が起しているもの、大正時代から昭和初期の気運や世界情勢を今一度心に留めて歩まないと、『日本近代史』坂野 潤治(著)にある「危機」の時代を再び迎える事になるやもしれません。
古代ローマの頃より「歴史は繰り返す」とのこと。自由と平和を維持するために、私達は何をすべきなのでしょう?もしくはこれ以上すべきでない事とは??
大正時代からの教訓は沢山ある!!と思った次第です。
それではご参加いただいた皆様、本日はお寒い中をご出席いただき、ありがとうございました。また、次回の読書会でお会いしましょう^^/
2月、3月の読書会は、東京国際文芸フェスティバル2016(http://tokyolitfest.com/)のオリジナルイベントに参加致します。ご興味のある方は、是非ご参加くださいませ。